「クレッシェンド 音楽の架け橋」あらすじ
世界的指揮者のスポルクは、紛争中のパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くという企画を引き受ける。
オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスを掴んだ20余人の若者たち。しかし、戦車やテロの攻撃にさらされ憎み合う両陣営は激しくぶつかり合ってしまう。
そこでスポルクは彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合い…少しずつ心の壁を溶かしていく若者たち。だがコンサートの前日、ようやく心が一つになった彼らに、想像もしなかった事件が起きる――。
クレッシェンド 音楽の架け橋公式サイトより引用
本作の注目ポイント
・憎しみの感情を乗り越えて、手を取り合うことができるのか?
・音楽を通じて何かを変えることができるかもしれないという希望を見いだせる。
・ハンカチは必須。
・若者よ、なんでもかんでもSNSで発信するのは辞めなさい(超重要)
※イスラエルとパレスチナの問題をある程度理解しておくといいかも。わからなくてもOK。
パレスチナとイスラエル、音楽で「架け橋」を作ることはできるのか
一言で言うと「「めっっっっちゃくちゃよかった」」です。語彙力が少なく申し訳ないです。
パレスチナもイスラエルも、どちらもお互いに対して「迫害をする理由」があります。自己の民族としてのアイデンティティの確立がしたい、故郷を追われた、もう差別や迫害にあうのはうんざり、戦争に巻き込まれて親族が死んだ、お前たちは人殺しの民族だ……。
それぞれお互いの主義や主張があって対立してしまうのは仕方がないと思います。この問題だって1日や2日で解決できる問題ではありません。でも、今この時代に解決ができなければ、この先何十年、何百年もこのままです。その間にさらに死者は増えて、もっと大きな憎悪を産むことになりかねません。
それを少しでも回避するために結成されたのがこの「和平オーケストラ」です。音楽というものは、一人で奏でることもできますが、「合奏」となると話は別です。演奏者全員と心を合わせて演奏をしなければいけないんですね。じゃないと音が合わなくて本当にひどいものになるので……。
オーディションを経て、オーケストラメンバーが決まっていざ練習!となっているのにメンバー間で「お前はパレスチナ/イスラエル人だから」と、聞くに堪えないような罵詈雑言などが飛び交っています。もうこのシーンだけでも「もうこの計画、始動前からボロボロじゃないか……」と思わされます。
果たしてこの「和平オーケストラ」、本当に成功するのでしょうか?ぜひその目で確かめてみていただきたいです。
パレスチナ・イスラエルの問題について予習したほうがいいかも
作品鑑賞の際、可能であればイスラエルとパレスチナの問題について知っているとより作品の世界に入り込めると思います。知らなくても大きな問題にはならないですが……。
気になるという方は、NHKの「大学生とつくる 生活応援ニュースゼミ」のサイトが非常にわかりやすかったので、そちらもぜひ参考にしていただければと思います。
パレスチナ問題ってなに? 1からわかる!イスラエルとパレスチナ(1)
SNSで何でもシェアするのはダメ。親友であっても機密情報は漏らさない
あのね。本当にね。ちょっとクレッシェンドのネタバレになるんですけども。
若者よ、なんでそんなになんでもかんでもSNSに投稿したくなっちゃうんだ。全部友達にシェアしちゃうんだ。今すぐやめなさい……。
オーケストラ参加者の一人が、友達に「あるメッセージ」を送っちゃって、そこから事態が急展開を迎えるシーンがあるんですけども。ネタバレになるので詳しくは話せませんが、ちょっとしたSNSへの投稿のせいで、「ガチの国際問題」に発展しちゃうんですね……。
クレッシェンド、民族間の対立をどうすればなくしていけるのかという点にフォーカスしつつ、ちゃんと若い子たちに「SNSを正しく使えよ」と教えてくれるいい作品だなって思いました。(嘘です。)
「友達だから、親友だから、家族だから……」という考え方って本当に危険で、伝えた相手がもしかしたら「まあ自分の家族に教えるくらいならええやろ」と思って家族に話す→そこからさらに拡散されちゃう、みたいなケースだって十分に考えられるんですよね……。
だから、本当にSNSで何でも友達にシェアするみたいな習慣はできるだけなくしましょう……。いったいどんな風に情報が扱われるかなんて本当にわからないんですから……。
まとめ クレッシェンドは観た方がいい
はい、もうドシンプルにこれは見ていただきたいです。
パレスチナとイスラエルの問題にかかわらず、結局は「差別や憎しみをどんなふうに乗り越えていけばいいか」「平和への道を探る」というお話になるので、そこまで難しく考える必要はないと思います。
そして本作で、「正直中東の情勢はよく知らなかったなあ」と思われた方はぜひ調べてみて、知っていただけたらなと思います。私も完全に内容を把握しているわけではないので、もっとちゃんと調べないと……。
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