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「KUBO 二本の弦の秘密」あらすじ、ネタバレ、感想紹介!|2017年11月18日公開作品

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「KUBO 二本の弦の秘密」のあらすじ

三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという、不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父にねらわれ、クボを助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。父母の仇を討つ旅に出たクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知り―。かつて母と父に何があったのか?三味線に隠された秘密とは?祖父である<月の帝>と相対したとき、全ては明らかとなる。

Amazon Videoより引用

本作の注目ポイント

今やほとんど作られていない「ストップモーションアニメ」制作の「スタジオライカ」が贈る作品。
監督を務めたのは、大の日本ファンだと語るトラヴィスナイト監督。「スタジオライカ」の代表も務めているんですよ~。
そういえば、トラヴィスナイト監督と言えば「バンブルビー」の監督もしてましたよね。ストップモーションアニメ以外の監督もやるんだ、とちょっとビックリでしたが!

最近ではめっきり見かけなくなってしまったストップモーションアニメ。CGでは出せない質感の映像をぜひ観ていただければと思います!

KUBO 二本の弦の秘密 ”完成度の秘密”は「質感」と「愛」!?

ストップモーションアニメの醍醐味は「質感」

ストップモーションアニメの醍醐味は、「人間の作った温かみ」にあると思っています。
CGで作られた作品でももちろん「温かみ」は感じられます。それこそ「モンスターズインク」のサリーの毛並み、あの描写はCGだからこその「温かみ」だと思います。

けれど、ストップモーションアニメはもっとどこか「無骨さ」を感じます。例えばクボの髪の毛束、CGのように滑らかでなく、少し歪みがあって、でこぼことした質感。サルの毛並み。触るとごわつくけどふわっとしたような質感なのかな。といったことが手に取るようにわかります。
クボたちが戦った骸骨。どこかドクロの動きがややガタついているのがまた「骸骨っぽさ」を演出しています。

本作は「日本へのラブレター」。監督の愛、しっかり受け取りました

それこそ「G.Iジョー 漆黒のスネークアイズ」なんかでもそうなんですが、「違和感しかない」というのが多すぎませんか。海外作品における「日本」の描写って。(G.Iジョーはギャグアクション映画だからいいか……)
特に時代モノなんて、海外の人が作るなんて絶対無理、違和感しかないだろうと。そんな先入観もあります。

ですが、トラヴィスナイト監督は大の日本ファン。インタビューの中でも「本作は日本に対するラブレターだ」(KUBO 二本の弦の秘密 公式パンフレットより)と語っています。
本当にその言葉通り、日本の文化を徹底的に調べて、それを作品に余すことなくぶつけている!

なんといってもお盆の描写!地域によっては、お盆に灯篭流しをする文化があると思うのですが、その「灯篭流し」を作中でしているんですね。
最近では行われなくなってきている(私が住んでいる地域は全くやっていないのです……)この行事。まさか監督がご存じとは思わず、そのシーンを見ただけで号泣してしまいました。
どれだけ、どれだけ日本のこと調べてくれたんや!!

本記事を読んでいる日本人の皆さん、トラヴィスナイト監督よりアッツアツのラブレター届いてるので、絶対観てほしいです……!!

字幕担当の石田泰子さんの訳が最高

映画ファンの間で人気の字幕翻訳者と言えば、「アンゼたかし」「林完治」「松崎広幸」の3名のような気がするのですが、「石田泰子」さんの翻訳もめちゃくちゃ丁寧で最高です。

各キャラクターの特徴をうまくとらえた訳をすることはもちろん、言い換えがすごく上手!

例えば、以下のようなセリフがありました。
※本来のセリフと一部変更しています。

「Sから始まる単語のものを見つけたよ」
「当てて見せよう。snow?」
「ううん、違うよ」
「では、shoes!」
「ううん、正解はsong!」

SNOWは日本語で「ユキ」なので、Sから始まりません。またshoesも「クツ」、songは「ウタ」です。これを、次のように訳していました。

「さ、から始まる単語のものを見つけたよ」
「当てて見せよう。”雪原(セツゲン)”?」
「ううん、違うよ」
「では、”雪駄(セッタ)”!」
「ううん、正解は”調べ(シラベ)”!」

すごくないですか?ここまでの訳をひねり出すまでどれほど時間かかったか!!絶対思いつかないし、そもそも「雪駄」とか「調べ」なんて日常生活で全く使わないから思いつきもしない。
このセリフの訳をみて、一気に石田泰子さんのファンになりました。

このシーンだけでもぜひ見てもらいたい……!

KUBO 二本の弦の秘密 ネタバレあり感想

制作、そして翻訳に至るまで、何から何まで最高の本作。
もちろんストーリーも傑作です。

月の帝を倒すためにクボは旅に出ることになりますが、カギとなるアイテムは3つ。剣と甲冑、兜です。
アイテムが3つ、というと、日本の神話に出てくる「銅鏡、剣、勾玉」3種の神器を思い起こします。もしかして脚本書くとき、3種の神器についても調べてたんじゃ……?と思うとちょっとニヤニヤしますね!

そして物語中盤、ずっと一緒に旅をしてきた猿とハンゾウが、実の両親だとわかった時……このシーン、本当にグッとくるんです。今まで気が付かなかったけれど、本当に短い間でありつつも「家族の時間」を過ごしていたとは……。クボが物心ついたときには父であるハンゾウは死んだことになっていたし、母は病気がち。幸せな子供時代、「普通の子供」として、ただ愛されるだけの日々をクボは過ごしたことがありませんでした。
そしてやっとつかんだ「普通の子供」の時間が、こうもあっさりと奪われるとは……。

クボは本当の意味で一人ぼっちになってしまいました。
しかも、クボの中で両親って2度も殺されているんです。父親も母親も、一度死んだと思ったら生きていた、嬉しい!と思った矢先にすぐに希望が打ち砕かれる。
本当に残酷です。

それでも、クボは両親の遺志を引き継いで月の帝に立ち向かう!
クボのその勇気に涙が止まらなくなります……。

「かぐや姫」の逆。月の住人が心を得る物語

クボのお母さんはもともと月の住人です。日本の昔話に当てはめるとするなら、それは「かぐや姫」と言えるのではないでしょうか?
かぐや姫は自分を育ててくれたおじいさんやおばあさんには感謝をしつつ、それでも「月の帝」にあらがえず、月へと帰ってしまいます。
一方で本作の「かぐや姫」はそれを良しとせず、戦って逃げて、大切な子供「クボ」と生きる道を選びました。

「かぐや姫の物語」(竹取物語)が成立した頃の日本は、女性の意思というものはあまり尊重されていませんでした。どこの誰に嫁ぐかは基本的に「家」が決めることが当たり前で、恋愛結婚は多くない時代です。
トラヴィスナイト監督はこの点を見事にひっくり返し、「女性が自分の幸せのために戦う物語」に変えてくれた、と考えてもいいのではないでしょうか。

そして母から子へ、その意思は引き継がれて、月の帝との最終決戦に至ります。
そして物語最後、月の帝はクボから「与えられた」目で、世界を見る、というお話なんじゃないかなあと思います。

Amazonレンタルは400円。ネトフリなら見放題

2022年2月現在、何とかネトフリであればKUBOが見放題の対象作品になってます!
Amazonは残念なことに課金制……ちょっと前までは見放題だったんですが、いつの間にか外れちゃってたみたいです。

ほか、昔ながらの方式のTSUTAYAレンタルであれば、旧作で100円で観られると思います!
もしこの作品が気になったら、ぜひみてみてください!損は絶対させません!

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