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「ドリームプラン」アカデミー賞作品賞他ノミネート、あらすじ・ネタバレあり感想を紹介|2月23日公開

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アカデミー賞ノミネート作「ドリームプラン」が日本公開!

2022年のアカデミー賞、作品賞を含む5つの部門でノミネートの本作。本国では11月ごろに公開、その直後から絶賛の声が相次いでいます。有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では、批評家の90%、オーディエンススコアは98%が絶賛と驚異的な数字。
参考:KING RICHARD-Rotten Tomatoes

ちなみに、みんな大好き「MADMAX:FURY ROAD」は、批評家98%、オーディエンス86%となっています。批評家はMAD MAXの方が好きらしい……!
参考:MAD MAX: FURY ROAD-Rotten Tomatoes

「ドリームプラン」あらすじ

リチャードは姉妹が生まれる前にTVで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て、「娘を最高のテニスプレイヤーにしよう!」と決意。

テニスの教育法を独学で研究し、「世界チャンピオンにする78ページの計画書」を作成。誰もが驚く常識破りの“ドリームプラン”を実行し続けた。お金もコネもない劣悪な環境下で、途方もない苦難、周りからの批判を受けながらも、そのプランでいかにして2人の娘が世界の頂点へ上りつめるのか―― ⁉

どんなに無謀だと言われても揺るがぬ信念を持ち、娘たちの可能性に人生のすべてを捧げるリチャード。不可能を可能にしていくその姿に心を揺さぶられる、一生忘れられない感動作。

「ドリームプラン公式サイト」より引用

原題は「KING RICHARD」

邦題の「ドリームプラン」は、二人の姉妹を育て上げた「リチャード・ウィリアムズ」が作成した、「子供を世界一のプロテニスプレーヤーにするための計画書」から名付けられたのでしょう。

一方で原題の「KING RICHARD」は、文字通り「リチャードが王様ですよ」というポイントを強調しています。

父親が王、妻が王妃、そして子供たちはプリンセス。王と王妃に愛され大切に育てられる存在。そして王の言うことは絶対で、王妃ですら逆らうことはできない。王の側近(!)であるコーチですら口答えNG!
父の独裁政治にちょっぴり嫌気が差す側近とプリンセス!果たしてプリンセスたちは本当にプロのテニスプレーヤーになれるのか!!

ドリームプラン字幕翻訳は松浦美奈、監修に伊達公子!?

専門性の高い作品になると、字幕翻訳の際に監修が付くことがあります。それこそ軍事モノであれば軍事ジャーナリストが、何らかのスポーツであれば、スポーツ解説者が行います。

「一流のテニスプレーヤーを育てる」という本作、監修はなんと伊達公子さん!一時期「日本人で有名なテニスプレーヤーと言えば!」という代名詞にもなった方です!
そんな彼女、もちろん本作の主役「ウィリアムズ姉妹」と対戦経験もあります!そのため、監修をしながらも「そういえばこんなこともあったな~」と思い出に浸っていたかもしれません!
参考:https://the-ans.jp/news/119177/

ドリームプランネタバレあり感想|リチャードは偏屈ジジイ?

ニュースで「テニス1回で400万ドルを稼ぐ人」の話を聞いて、リチャードは「子供あと2人作ってテニスプレーヤーにしようぜ!」と奥さんに提案。その後無事に2人の女児が生まれ、プロテニスプレーヤーの道を歩ませる……。

奥さんよ、よくこれで納得したな!?生まれる前から子供の運命決めちゃうなんて、子供の意思は!?とちょっと思っちゃいます。リチャード夫婦が信仰している宗教では「基本的に妻は夫に従え」となっているので、致し方ない部分もあるのでしょうが……。

ある程度強くなった姉妹、これからは本物のコーチに学ばせないと伸びない。しかしコーチを雇うにはお金が……。そして思いつくのです、「無料でやってもらおう」と。
「未来のプロテニスプレーヤーを育てた、というありがたき称号をあげるから、無料でコーチして」ってかなり無茶な要求です。ですが、それを苦労しつつも成し遂げてしまう(しかも2度も)リチャード、メンタルが強すぎる……。

リチャードは本当に偏屈ジジイか?白人に対する「失礼返し」

「無料でコーチをやれ」「カリフォルニアのあなたのテニススクールで学ばせたい。一家全員移住の手配を」

リチャードは、自分の娘のコーチになる人にこのような要求をしています。
正直、どれもかなり無茶があるというか、図々しいというか……。例えば「無料でイラストを描いてください」「ピアノが得意?結婚式で演奏してください!無料で!」「友達がネイリストになった?”練習台”ってことで、無料でやってくれないかな?」と言われた場合、通常大激怒、ブチギレ案件になります。人によっては「技術の搾取」という人もいるでしょう。

大体の人は、「さすがにここまでお願いしちゃったら失礼かな……」と思い、遠慮する部分も出てくると思います。でもリチャードは一切遠慮はせず、あれも、これもと要求を大きくしていきます。
その理由は何でしょうか……?

理由の1つは、黒人と白人の格差?

リチャードの子供が、ウィリアムズ姉妹の時代はそうした差別や規制が緩和された時代。黒人たちがもっと広い世界を見られる時代になりました。

きっと、その「広い世界」を少しでも自分がたくさん見たい、そして子供たちに見せてあげたい、という思いが強かったのではないでしょうか。

また、いままで白人にされてきた「失礼なこと」を、そっくりそのままお返しします、という意図もあったのかもしれません。なにしろ、リチャードは幼いころに「複数人の大人の白人」からひどい暴力を受けた経験があります。
「技術の搾取」よりももっとひどいことです。大人でももちろんひどいのに、ましてや子供に集団で暴力をふるうのは言語道断です。

リチャードにしてみれば、「昔自分がやられた行いをそっくりそのままお前らに返してやるよ」という気持ちなのかもしれません。

テニスは富裕層の白人がやるスポーツ?

テニス業界は当時、「裕福な白人」がやるスポーツでした。
ヴィーナスが10代前半の頃、スポンサーがつくという話が舞い込みます。エージェントは白人男性2名。彼らはリチャードを前にして「ここまで彼女を育て上げたのは驚き……本当に驚きだ」と口にします。
リチャードは「なぜ驚き、と2回も言った?黒人がテニスするのが驚き?そうなんだろう!」と詰め寄ります。

結局エージェントたちの真意は不明ですが、このスポンサー契約の話は流れることになりました。
目の前にほぼ確実に悲願を達成できるチャンスが転がっているのに、自分の「黒人に対して少しでも差別的な態度をする人物とは取引をしない」という信念を貫き通したリチャード。正直、はたから見るとただの「偏屈ジジイ」のように見えます。

しかし、深く考えるとそれはただ「偏屈」なのではなくて、父親として子供を最高の高みへ連れていきたい、絶対に子供を大人の悪意から守るという強い信念の表れなのではと思います。

ウィリアムズ姉妹のその後。「みんなが自分にあこがれる」

ウィリアムズ姉妹の選手生命がどうなっているのか、テニスファンの方などにとっては当たり前の話だと思います。二人とも、力強いプレーで観客を魅了し、その後大坂なおみさんにも引き継がれました。まさしく姉妹が作中でも言っていた「誰かになりたいんじゃない。誰もが自分にあこがれる存在になりたい。」をそのまま体現しています。

ファッションブランドなども立ち上げる、実業家としても活躍中

リチャードは、「テニスだけではなく学問も大切にする」ことをモットーとしていました。
多くの場合、スポーツ選手は勉強そっちのけでそのスポーツの練習に打ち込みます。その結果はどうでしょうか。
引退した後、あるいはプロ選手として活躍できなかった場合は?運が良ければスポーツコーチや解説員などとして活躍できるでしょうが、全員が全員そうなれるわけではありません。そうならないように、ウィリアムズ姉妹に学問も怠ることを許しませんでした。

そして引退後、姉妹が何をしているのかというとなんとアパレルブランドを立ち上げ、実業家としても活躍しているのです!

スポーツ選手のその後、までしっかりと「プラン」に組み込んでいたリチャード。本当に、ここまで子供たちの幸せを考えられる人は数少ないのではないでしょうか。

参考:https://8760.news-postseven.com/24879

ドリームプランは2月23日に公開したばかり。映画館に急げ!

ウィル・スミスの演技はもちろんのこと、ウィリアムズ姉妹を演じた子たちも「演技力申し分なし」「テニスめっちゃうまい!!」で文句なし最高の一言!
海外でも絶賛の声が相次ぐのもうなずけるレベル!

残念なことに、劇場での上映は終わってしまったためDVDや配信サービスなどで配信されることを待ちましょう。

1日でも早く自宅で本作が観れるようになることを、心から祈っています!

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