皆さんは映画を観るとき、エンドロールもしっかり見る派ですか?それとも帰っちゃう派ですか?それとも……劇場内でスマホをいじりながらスクリーンないが明るくなるのを待つ派ですか?
はい、「劇場でスマホいじる派だよ」という人は今すぐ帰った帰った!映画館の外でも中でもスマホの内容は同じだ!
という冗談はおいておきまして、エンドロールって面白いですよね。私はいつも「棒人間がエンドロール内の空白を縦横無尽に駆け回る妄想」をしたり、「この人日系人かな?あ、この人は中国っぽいぞ?」とアジア系のスタッフさんを探したりします。
つい最近、元テレビ会社の編集マンをしていた夫より、面白い情報を聞きました。
「エンドロール、”この人は責任者だから長めに表示、この人は一般社員とか業務委託なので表示時間は短め”とか、いろいろルールがあるんだよ」
ちょっと面白い話だったので、ちょっぴりご紹介します。
エンドロールは映像業界に生きる人たちのポートフォリオ
正直、一般の観客ってそこまでエンドロールを必死で観ている人って多くないと思います。
自分が制作に加わった、自分の友達や家族がいる、というケースは別ですが……。
基本的にこのエンドロール、「業界人向け」に作られているそうなんです。
例えば映画を観ていて、「なんかこの辺の音響すごいな」とか「この辺のカメラワークすごい」となった時に、エンドロールを見ると「あーなるほど、この辺の音響は●●さんで、カメラは××さんなんだね~」とわかるようにしているらしいです。
将来的に、誰かが転職するよとなった時に「私は◆◆の作品で◎◎を担当してました!」と履歴書などに書いた際に、エビデンスにもなるとのこと。ちょっぴり意味は違いますが、「ポートフォリオ」的な役割というと少しイメージが付きやすいかもしれません。
監督やチーフなど偉い人は長め、それ以外は短めでOK
映画ファンならご存じとは思いますが、エンドクレジットはまず最初に監督の名前などが出てきます。
例えば、以下のような形です。
赤枠で囲っている通り、やたらと余白が多い!そうすることで、ほかの情報が目に入らず「この作品の監督は◎◎さんね」と目立つようになっています。
一方で、そこまで重要じゃない人の名前は一気に紹介されます。例えば、以下のように。
すぐ上のスタントダブルの方はそれなりに丁寧に紹介されていたのですが、それ以外のスタントが!!!数が多く、尺が足りないので仕方がないといえばそうなのですが、何ともやりきれないこの気持ち……!
ちなみに、「そんなに大々的に紹介する人じゃないけど、まあ部署の課長とか主任クラスだし、紹介してやるか」みたいな微妙な立ち位置の人は、ちょっとだけ、ほかの人よりほんの少しだけ多くスペースがもらえます。
↓こんな感じです。
すごく微妙すぎて、印付けてもらわないとよく違いがわかりませんね……。
違う部署の時はブロック分けをする
特殊エフェクトチーム、CGデザインチーム、画像処理チーム……など、部署が違う場合は、以下のようにブロック分けをします。
そしてこの時!ブロックの大きさがバラバラだと気が散りますよね!?読みにくいというか!!
なので、ブロックごとの大きさや表示位置が細かく決まっています。上の図の例でも、かなりきれいにブロック分けされていることがわかると思います。
ここまできれいにまとめていると、もはや職人技ですね……!
企業ロゴは目立つようにする
そして大事なのが企業ロゴ。お金出してくれたり、いろんな素材作ったり撮影協力してくれたり。
「ありがとう!」の気持ちと、「この会社こんな感じの仕事するんですよ!」と紹介しないといけません。
なので、ちょっとでも目立ちやすいようにど真ん中に表示します。
場合によっては、この「企業ロゴ」のみが画面上に映るように、上下の表示(例の場合SONGS等が映らないように余白を多くとる)調整しているケースもあります。
エンドロールを作る専門の部署まである!
ハリウッド映画のように、かかわっている人が多くなると、それこそデザイン面などで大幅な調整が必要になったりします。そのため、どこかの編集マンが片手間でやるのではなく、「エンドロール専門部隊」が存在し、日々美しいエンドロールを作るよう奮闘しているそうです!!
それこそエンドロールを見ていると、「エンドロール作成担当……」みたいな表示もあるのかもしれませんね。
映画製作の皆様の頑張りに感謝して映画を観よう
映画は監督や出演者だけではなく、メイクさんやカメラさん、音響さん……など、数えきれないほど多くの人の手によって、私たち観客の手元に届いています。
こうした人たちの名前がより多くの方の目に触れるよう奮闘していると考えると背筋が伸びますね。
エンドロール、つい早回ししたり飛ばしたり、ぼんやり眺めたりしてしまいがちですが、「こんな部署があるのか」「こんな人が働いているのか」と思いをはせながら観るのもいいですね。
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